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静岡地方裁判所浜松支部 昭和31年(ワ)136号 判決

静岡県磐田市中泉六〇参番地

原告

儒教陰陽道総師府晁衡宗家勅許家元正四位国教総裁菊坡晁司家公許祭祀法人皇治教神祗陰陽道大本庁 宗教法人

やまき

右主管者

中津川四郎

同県同市中泉参参四番地の壱

原告

勅許家元正四位菊坡晁司家宗教法人皇道治教信徒共同一茶寮信徒共同購買販売協同組合

右主管者

木舟直太郎

同県同市中泉五九弍番地の弍

原告

勅許家元正四位国教総裁菊坡晁司家祭祀法人皇治教神祗陰陽道天社教団大本庁宗教法人皇治教信徒相互共同経営都すし

右主管者

清水増吉

同県同市見付参四九四番地

原告

儒教陰陽道孔子教団総師府公許祭祀法人皇治教神祗陰陽道天社教団大本庁正四位神祗祷祀官陰陽医学博士晁司家木舟晴善勅許正四位菊坡晁司家事業寮公許宗教法人儒学治教マルエイ洋裁加工事業寮

右主管者

磯部治平

同県同市中泉壱参六参番地の参

原告

儒教陰陽道総師府晁衡宗家勅許家元正四位国教総裁菊坡安倍司家公許祭祀法人皇治教神祗陰陽道孔孟教団大司庁正四位神祗祷祀官陰陽医学博士晁司家木舟晴善

宗教法人福助屋洋品店

右主管者

名倉清一

同県同市中泉参九参番地

原告

儒学治教孔子団総師府公許祭祀法皇治教神祗陰陽道晁司家大教庁

宗教法人儒学治教信徒共同経営

乃んき

右主管者

稲葉真澄

同県同市天龍弍六七番地の参

原告

儒教陰陽道総師府晁衡宗家勅許元正四位国教総裁菊坡宗信司家公許

祭祀法人皇治教神祗陰陽道孔孟教団大司庁

正四位神祗祷祀官陰陽医学博士晁司家木舟晴善

宗教法人

村越自転車商会

右主管者

村越勇

同県同市二之宮七参七番地

原告

勅許家元正四位菊坡安倍司家公許祭祀法人皇治教神祗陰陽道本庁

宗教法人磐田職業技術専門補導学校

右主管者

大場正

同県浜松市板屋町壱四壱番地

原告

正四位神祗陰陽道晁司家社会事業寮公許

宗教法人皇治教信徒共同アキモト衣料工業所

右主管者

秋元庄平

同県磐田郡田原村松袋井壱弍八番地

原告

宗教法人皇道治教養老院信徒産業購買販売協同利用組合本部

右主管者

村松勝太郎

同県磐田市見付弍参八五番地の四

被告

磐田税務署

右署長

道正信彦

右当事者間の昭和三十一年(ワ)第一三六号公文書真否確認請求事件につき次のとおり判決する。

主文

本件訴はこれを却下する。

訴訟費用は原告等の負担とする。

事実

原告等各代表者は、被告の昭和三十一年四月六日附、原告宗教法人は解散することになつています。従つて解散登記の有無にかかわりなく個人事業として所得税を課税することになります、とある別紙目録公文書は、真正に成立した文書にあらざることを確認する。訴訟費用は被告の負担とする、旨の判決を求め、その請求原因として次のとおり陳述した。

原告等は昭和二十年十二月二十八日勅令第七百十九号昭和二十一年二月二日勅令第七十号改正の宗教法人令の規定及び昭和二十二年五月三日施行の日本憲法第二十条に規定する信教の自由に基き其の登記法に従い宗教法人の登記をなし、宗教法人令第四条により成立し同法第五条により第三者に対し対抗することを得たものにして同法第七条の規定により文部大臣又は地方長官に届出での手続も完了したものであります。

昭和二十六年四月二日法律第百二十六号により宗教法人法が公布されて同法附則第一項により公布の日から施行する同第二項に宗教法人令(昭和二十年勅令第七百十九号)及び宗教法人令施行規則(昭和二十年司法、文部省令第一号)は廃止する、以上により宗教法人令は廃止された事実は認めるが宗教法人令の規定に基き設立した登記を受けた宗教法人は廃止することを得ず同令の規定により存続することは法の精神である依て同第三項の如くこの法律施行の際現に存する宗教法人令の規定による宗教法人は、この法律施行後も、同令の規定による宗教法人として存続することができる。

同第四項として第二項に掲げる命令の規定は、前項の宗教法人(以下「旧宗教法人」という)については、この法律施行後も、なおその効力を有する。

右第四項の説明

宗教法人令による宗教法人法によらず宗教法人令の規定により存続し得るのである。と説明する。

宗教法人法附則第五項の命令は新宗教法人法の宗教法人法による宗教法人となろうという場合の規定で新宗教法人にならねばならないという法律ではない憲法第二十条参照すべし。

日本国憲法は第三章に於て国民の権利及び義務につき第十条乃至第四十条の規定するところにして宗教法人令が廃止するも憲法は変更せず又憲法が改正されても国民は自然人で人定法により廃止することを得ず法人も同様である。

宗教法人令は廃止しても宗教法人令により設立した宗教法人を廃止することを得ず。

原告等は去る五月二十九日被告に面談を求めた際、被告は別紙目録記載内容に異議ありとせば裁判により決すべしと答弁す。

被告は行政機関にして終審として裁決すべき権利を有せず。

別紙目録内容によれば法人を廃止して個人に変更せし如く記載ありて刑法上の犯罪ありと信ずるものである。

憲法第三十二条及び民事訴訟法第二百二十五条により本訴を及んだと述べ、

被告税務署長は適法な呼出を受けたけれども本件口頭弁論期日に出頭せず、かつ答弁書その他の準備書面も提出しない。

理由

税務署は国の租税事務を分掌する人的及び物的の設備であつて官署に過ぎず、行政事件訴訟特例法にいわゆる行政庁でもなく、また私法上の権利義務の主体となることもできないから、民事訴訟上の当事者能力を有しない。

よつて原告等の本訴提起は、不適法であることを免れないのでこれを却下すべきものとし、民事訴訟法第八十九条第九十三条を各適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 播本格一)

目録

磐田直所第三十八号

昭和三十一年四月六日

市内東町

中津川国郎殿

磐田税務署長 道正信彦印

宗教法人解散後の事業所得に対する所得税の申告について

貴殿は、従来宗教法人として事業を主管されてきましたが現在の宗教法人法によりますと、貴殿の主管して来た法人は昭和二十九年七月二十日解散することになつています。したがつて解散登記の有無にかかわりなく以後個人事業として所得税を課税することになります。

従つて既往の無申告の分及び昭和三十一年分の無申告の分については昭和三十一年四月二十五日までに確定申告書を御提出下さい。

尚既往年分の所得で申告されていないもの及び昭和三十一年分の無申告のものでも指定期限までに確定申告書の提出があれば扶養親族の控除や加算税の徴収について特別の措置を考えたいと思つています。

おつて申告の仕方等について御相談に応じたいと存じますからきたる四月二十五日午後三時頃印鑑及び関係書類持参の上当署係までおいで下さい。

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